30日カリキュラム / Week 1・土台
Day 2:なぜ投資なのか/しなくてもいいのか
今日のひとこと
「投資って、やった方がいいんですか?」とよく聞かれます。とても良い問いだと思います。
でも今日、私から「やるべきです」とは言いません。やるか、やらないか。それをあなた自身が決められるように、今日は判断の材料だけを渡します。
今日のねらい
なぜ「投資」という話が世の中に増えたのか。その背景にある「インフレ」を、生活の感覚でつかむこと。
お金の価値は、ずっと同じではない
10年前と今で、こんな経験はありませんか。
- 同じお菓子が、量は減って値段は上がった
- ランチが800円から1,000円になった
- 「昔は100円で買えたのに」と思うものが増えた
身近な例をひとつ。あの「うまい棒」です。1979年の発売から約42年間、ずっと1本10円でした。それが2022年に12円、さらに2024年には15円へと上がりました。
1本2円、3円の差ですが、変化率で見ると重みが変わります。10円から12円で20%、12円から15円でさらに25%の値上げ。合計すると、10円が15円、つまり1.5倍(プラス50%)です。42年も動かなかった値段が、たった2年半で2回も上がりました。
お米は、もっと急でした。スーパーでの5kgあたりの平均価格は、ざっくりこう動いています。
| 時期 | 5kgの平均価格 | 動き |
|---|---|---|
| 2024年 初め〜春 | 約2,000〜2,100円 | 高騰の前 |
| 2024年 夏〜秋 | 2,600〜3,000円超 | 急に上がり始める |
| 2025年 3月 | 4,000円を突破 | 約1年でほぼ2倍 |
| 2025年 8月 | 約3,804円 | 前年から +45% |
| 2025年 11月 | 約4,260円 | 前年から +22% |
| 2026年 初め〜春 | 4,000円台 → 3,000円台へ | 少し落ち着いてきた |
毎日食べるお米が、1年あまりでほぼ2倍まで上がる。これは家計にずしりと効きます。ただし2026年に入ってからは、少し値下がりに転じました。値段は一本調子で上がるわけではなく、上下しながら動きます。それでも長い目で見れば、じわじわと上がっていきます。
こうした動き、とくに長い目で見て物の値段が上がっていくことを インフレ(物価が上がること) と呼びます。物の値段が上がるということは、裏を返すと、同じ1万円で買えるものが減るということ。つまり、お金の価値が少しずつ下がっている、ということです。
出典:うまい棒の価格は食品産業新聞社・日本経済新聞。お米の5kg平均価格は農林水産省「米の価格」(スーパーのPOSデータ等)にもとづきます。価格は変動するので、最新の数値は各公式ページでご確認ください。
たとえば毎年2%ずつ物価が上がると、銀行に置いたままの100万円の「買える力」は、20年後にはおよそ67万円分くらいまで目減りします(金利をほぼゼロとした場合のイメージ)。通帳の数字は減っていないのに、買える量は減っている。これがインフレの少しこわいところです。
「投資」という話が増えたのは、この目減りに対して、お金にも少し働いてもらう手段として注目されているからです。それ以上でも、それ以下でもありません。
でも、「しなくてもいい」も立派な選択
ここが、ほかのサイトと少し違うところかもしれません。投資は、義務ではありません。
- 近いうちに使う予定のお金(数年内の学費・引っ越し・結婚など)は、投資に向きません。
- 借金の返済が先にあるなら、それを片づける方が、確実なリターンになることもあります。
- 値動きで眠れなくなるくらいなら、無理にやらない方が、心と体には健康です。
投資は、目的ではなく、道具のひとつです。使うかどうかは、あなたの暮らしと気持ち次第。このコースは、使うと決めたときに安全に使えるよう、準備しておくためのものです。
公式ソースで確かめる
- 日証協「投資の時間」 … 「資産運用とは?」から中立にスタート → https://www.jsda.or.jp/jikan/
- 金融庁「基礎から学べる金融ガイド」 … 家計とお金の基本が1冊に → https://www.fsa.go.jp/teach/kyouiku.html
- 知るぽると(J-FLECにアーカイブ) … 暮らしとお金の知恵 → https://www.shiruporuto.jp/public/
詐欺レーダー
インフレの話は、恐怖をあおる詐欺の入口にもよく使われます。
「預金は実質マイナスです。今すぐ動かないと、あなたの資産は溶けていきますよ」
前半は事実でも、「今すぐ」「この商品で」と急がせ始めたら危険です。インフレが本当でも、「だからこの怪しい商品を買え」は飛躍です。事実(インフレ)と、勧誘(だからこれを買え)は、切り離して聞く癖をつけましょう。本物の公的情報が、特定の商品を「今すぐ買え」と言うことはありません。
今日の一歩(1つだけ)
ここ数年で「値上がりしたな」と感じたものを、3つだけメモしてください。(たまご、ガソリン、コーヒー、外食など、なんでも大丈夫です)
これが、あなたが肌で感じているインフレです。数字よりも、この実感のほうがずっと大事です。
つまずきやすいポイント
- 「インフレ=悪」ではありません。ゆるやかなインフレは、経済が動いている証でもあります。問題になるのは、お金を置きっぱなしにしたときに、じわじわ目減りするという一面です。
- 「じゃあ全財産を投資に?」は禁物です。使う予定のお金は守る。これが大原則で、Day 6でしっかり扱います。
明日は、よく混同される「投資・投機・ギャンブル」の違いを整理します。ここがわかると、詐欺の正体も見えてきます。